• ・米朝会談中に、トランプの腹心だったコーエンが公聴会でトランプを告発
    ・コーエンの告発で米朝会談どろこでなくなり、トランプ会談を放り投げる
    ・米朝会談に根回しをした韓国、更に調整を指示。また…

米朝会談失敗は米公聴会が原因?

会談中に飛び出したマイケル・コーエン被告(元顧問弁護士)の証言

トランプ氏、元弁護士の公聴会が米朝会談物別れに影響と示唆(ロイター)

記事によると、ベトナムで米朝首脳会談が始まった2月27日、トランプ大統領の顧問弁護士だったマイケル・コーエン被告が「トランプ大統領が過去10年間で約500回、脅迫を指示した」と下院監視・政府改革委員会の公聴会で証言したため、トランプ大統領にとっては米朝会談どころではなくなり、とんぼ返りした可能性を示唆している。

「半島の非核化に向けた結果」を出せなかったアメリカ

腹心の暴露で北朝鮮どころでなくなったトランプの窮地(ダイヤモンドオンライン)

こちらの記事でも、会談が物別れに終わった結果の一つにコーエン氏の証言を挙げている。

もう1つは、トランプ大統領にとって、かつての腹心とも言えるコーエン氏の暴露問題が突如として浮上したことだ。2月27日、米下院監視・政府改革委員会の公聴会にてトランプ氏の長年の腹心だったマイケル・コーエン被告がトランプ氏の“実態”を暴露したのである。

一方で、そもそも当事者間でも合意に至らなかったとの見解も示している。

まず1つは、北朝鮮の金正恩委員長がトランプ大統領の弱みに付け込もうとして制裁の完全解除を迫ったことだ。しかし、さすがにトランプ氏も北朝鮮による非核化への取り組みという条件なしに、制裁解除の要求をのむことができなかった。この溝を埋めることが難しく、合意文書は発表できなかった。

こちらが原因であれば、そもそも公聴会の有無にかかわらず会談が失敗に終わった可能性は高い。

そして、この会談の失敗は米朝会談成功という実績を支持率に繋げたかったトランプ大統領以上に、そのトランプ大統領の狙いに付け込んで米国からの譲歩引き出しを狙っていた金正恩委員長にとっては痛手となった。

更に記事では

北朝鮮の金正恩委員長は、トランプ氏が点数稼ぎに焦っていることを冷静に見抜いていた。昨年のシンガポールでの首脳会談後、米朝は朝鮮半島の非核化や制裁の緩和・解除に向けた協議を重ねてきたが、進展は見られなかった。それが北朝鮮の戦術だった。金委員長は米国をじらし、その出方を確かめたかった。米国がしびれを切らして譲歩を示し始めたことを受けて、金委員長はトランプ大統領に段階的な非核化を進める用意があると伝え、交渉の主導権を取りつつ首脳会談の実現を目指した。

2回目の首脳会談が実現できればトランプ氏は、「金委員長と友好関係を深め、従来から議論を前進させることができた」と成果を誇示できる。それと引き換えに、金委員長は制裁の解除を米国に迫ろうとした。金正恩委員長が満面の笑みを浮かべてベトナム入りしたことを見ると、もしかすると制裁の解除をトランプが口走るかもしれないという淡い期待が同氏の脳裏にはあったのだろう。

この記事で述べている“点数稼ぎ”とは、北朝鮮側に米国を射程に入れたICBM発射実験などを行わないとの合意を取り付け、アメリカ国民に対して「本土の安全を守った」と喧伝できる実績を指す。

しかし、そういった両者の目論見は予測し得ないコーエン証言によって覆ることとなった。

歴史にIFはないが、コーエン証言がなければ、あるいは会談は両者の落としどころを見出していたかもしれない。

とばっちりを受けた韓国が直面する苦境

同じく、米朝会談を点数稼ぎにしたかったのが韓国の文在寅大統領だ。立て続けに経済政策で失点を重ね、頼みの反日でも支持率の向上にはつながらなかった。したがって、今回の会談が成功すれば米朝会談の立役者として民衆の人気を獲得できるのではないか。そんな思いは強かったはずだ。

しかし、コーエン証言により、しばらくトランプ氏には北朝鮮との交渉を進める余裕はないかもしれない。また、アメリカ世論の変化によってはトランプ氏との交渉が意味を持たなくなることも考えられる。

文大統領、米朝の実務協議再開を閣僚に指示

韓国大統領 米朝の実務協議再開促すよう閣僚に指示(NHK)

「米朝の関係改善を支持率回復の材料にする」という目論見が外れた文大統領は4日午後、NSC=国家安全保障会議を開き、外相や国防相などと意見を交わし「米朝対話のこう着が続くことは望ましくない」として実務協議の再開を促すよう指示した。

出席した閣僚からは具体的な対応策として、アメリカと北朝鮮、そして韓国の3者で協議を行うことや南北の軍事当局者による会談を行うことなどが提案されたほか、南北の経済協力についても、アメリカ政府に理解を求めていくことが挙げられた。

米朝関係の改善にはなお時間がかかるうえ、直接的に韓国の発展には繋がらない。事実、今回の物別れについて歓迎する声も韓国内から聞こえている。

それでもこの件に固執するということは、文大統領が国内で支持基盤の回復を図る有効な政策を持っていないのではないだろうか。

様式美「米朝会談の決裂は日本のせい」

さて、そんな青瓦台をよそに、相変わらず日本を引き合いに出す声がある。

「ハノイ会談決裂の裏に日本の影が見え隠れする」〔鄭東泳 民主平和党代表〕

民主平和党の鄭東泳代表は2日、自身のフェイスブックで以上のように日本の関与を取り上げた。鄭代表は続いて「日本はワシントンでのロビーに注ぐ人的・物的資源総量が韓国の60倍に達する。ハノイでの外交惨事が安倍政権の快哉につながる北東アジアの現実こそ冷厳な国際政治の隠れた実状だ」と述べた。続いて「世界の指導者のうちハノイ会談の失敗に歓呼した人は安倍首相1人だ」と主張した。

「ハノイ会談が合意に至ることができない結果が出て、世界で一番喜んだのが日本安倍晋三首相だった」〔柳時敏 盧武鉉財団理事長〕
また「御用知識人」を自任する柳時敏理事長も2日、盧武鉉財団YouTubeチャネルに公開された「柳時敏アリレオ」第9話特集放送で「ハノイ会談が合意に至ることができない結果が出て、世界で一番喜んだのが日本安倍晋三首相ではなかったか」と声を高めた。柳理事長は「自民党閣僚も喜色満面でうまくいったと話し、三一節(独立運動記念日)にその場面を見ると非常に腹が立った」と話した。

韓国を知らない人にはもはや病気としか思えないが、逆に韓国をよく知る人からすれば「いつも通り」という評価に落ち着くだろう。