中国最大手投資会社が「社債デフォルト」の衝撃… 専門家「中国総破綻の予兆だ」(夕刊フジ:2019年3月5日)

5日から中国の第13期全国人民代表大会全人代)第2回会議が開幕するのを前に、衝撃が広がっている。中国最大手の民営投資会社「中国民生投資集団」(中民投、CMIG)の社債が債務不履行(デフォルト)となったのだ。同国で過去最大級のデフォルトに発展する懸念も浮上、米中貿易戦争の影響で減速が目立つ中国経済にさらなる打撃となりかねない。専門家は「中国総破綻の予兆だ」と指摘する。

金融市場では、リーマン・ショックのようにめったに起こらないが発生すると壊滅的な被害を引き起こす現象を「ブラック・スワン(黒い白鳥)」と呼ぶが、再生可能エネルギーや不動産投資を手がける中民投のデフォルトは、高確率で存在し大きな影響を及ぼすにもかかわらず軽視されがちな現象を指す「グレー・リノ(灰色のサイ)」にたとえられている。

ブルームバーグによると、中民投の社債の一部について、2月1日に返済が行われなかった。同社の債務残高は昨年6月末時点で2320億人民元(約3兆8000億円)あり、中国で最大級のデフォルトとなる懸念もあるという。

中国の民営企業59社の共同出資で2014年に発足。民営企業で社名に「中国」を冠したのは初めてとされる。同社に異変が生じた理由について評論家の宮崎正弘氏は「習政権は当初、太陽光発電や風力発電に力を入れて補助金を付けていたが、昨年の早い時期に打ち切ってしまった。(中民投は)投資資金が回収できなくなり、社債を発行したが、相当高い金利で短期で借り換えをしていた」と解説する。

「習主席系列の国有企業は国営銀行が融資するが、それ以外のところは切っている。これらが連鎖することで、金融恐慌への発火点になりかねないのではないか」と宮崎氏は警鐘を鳴らす。

評論家の石平氏は、中国経済全体の問題が背景にあると分析する。

「個人は銀行や消費者金融から、地方政府はシャドーバンキング(影の銀行)や銀行からお金を借りる。企業も互いに莫大(ばくだい)な負債を抱えている。中国全体の負債総額は600兆元(約9900兆円)に及ぶとの試算もある。『借金漬け経済』の構造の上に成り立っているのが中国経済だ」

米中貿易戦争を受けて実体経済も減速が続く。中国国家統計局と中国物流購買連合会が発表した2月の景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)は49・2と節目の50を3カ月連続で下回り、16年2月以来、3年ぶりの低水準となった。

前出の石平氏はこう強調した。

「習氏も『中国にとって一番の脅威は“灰色のサイ”だ』と言い始めた。サイはおとなしく見えるが、爆発すると怖い。あちこちで借金の返済期が来て個人、企業、金融と総破綻する時代が来る予兆ではないか」

中国で大型の支払い遅延、今月2件発生-関係者

(ブルームバーグ:2019年2月11日)

中国では今月、大型の支払い遅延が2件起きた。債務不履行(デフォルト)に陥る企業が記録的水準に増える中、信用市場で山積しつつあるリスクが浮き彫りになっている。

再生可能エネルギーと不動産を対象に投資を手がける中国民生投資(CMIG)は、債券保有者に約束していた2月1日の返済を怠った。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。一方、昨年デフォルト(債務不履行)に陥った永泰能源は、債務再編計画の一環である支払いを先週履行しなかった、と別の関係者は話した。

両社とも借入額が大きいため、今回の動向は重要だ。こうした企業が資金調達で問題を抱えている状況は、11兆ドル(約1200兆円)規模の債券市場に生じた亀裂を埋めようとする政府の取り組みが、すべての企業に行き渡っていないことを示唆する。格付け会社のリポートによると、中国民生投資は永泰能源と並んで中国最大級の債務不履行となる恐れがある。債務残高は6月30日現在で2320億元(約3兆8000億円)だった。

中国バブル崩壊の証し! まともな就職先がない中国の“優秀な”若者たち(週刊実話:2019年03月07日 22時10分)

中国で大人気となった宮廷ドラマのテレビ・ネット放送が次々と中止になっている。
「中止になった代表的なドラマは『延禧攻略』です。これは清朝の後宮『延禧宮』を舞台に、さまざまな苦難を乗り越え、乾隆帝の妃に上り詰めた女官が主人公で、18年にインターネット・ドラマとして公開されると豪華なセットや衣装、また裏切りや陰謀など濃密な人間模様が話題となり、動画の年間再生回数が182億回に達し、中国トップを記録しました。東南アジアでも人気で、日本でも2月から放送されています」(中国ウオッチャー)

しかし1月、共産党系の北京日報が中国版ツイッター・微博(ウェイボー)の公式アカウントでドラマを名指しで批判した。指摘された内容は《華美で享楽的な空気をまき散らし、勤労・倹約の美徳に反している》、《嫉妬や足の引っ張り合いばかり描いた宮廷闘争は、われわれが提唱する社会主義の核心的価値観と相入れず、社会に悪影響を与える》という中国共産党らしい批判だ。他にやることがあるだろうと心配になる。

中国で起きている大量失業の実態は、日本のメディアが伝えないので詳細は不明だが、失業率4.9%などという数字は誰も信じていないことだけは確かだ。ネット上で「失業」「就職先なし」と書き込もうものなら直ちに削除される。

「ネット情報板のプラットフォームもチャットもすべて禁止され、最近はネットカフェがガラ空き状態となっているほどです。『グレイ・エコノミー』(訳の分からない商売)が、これまでは失業者を吸収してきました。出前の代理配達や通信販売、バイク便、自転車シェア、つまりウーバー・ビジネスといわれる仕事ですが、これも最近は完全な飽和状態となっています。加えて当局は、グレイ・エコノミー分野にも新しい規制をかけようと動き出しています」(同・ウオッチャー)

「金の卵」と称賛され、企業体から重宝されたのが、欧米や日本に留学し帰国した『海亀族』と称された若者たちだ。現在就職できない海亀が出現している。

「海亀と呼ばれる理由は、産卵(新技術などを花開かせる)のため古巣(中国)へ帰ってくるからですが、過去40年で、実に313万の中国人留学生が海を渡り、このうちの84.6%が帰国しています。ある統計によれば、彼らの平均年収は2万5000ドルでした。外資系企業が彼らを雇用し、その年収に比例して中国国有企業や下請けの賃金体系を誘導しましたが、そうした黄金の時代は今や終わりを告げたのです」(同)

予測をはるかに超える加速度をつけて中国経済の成長が終わりを告げている。